石と砂の伝統芸術 細川流盆石
こんにちは、新江戸川公園です。
四季折々に美しい変化を見せる日本の景色ですが、かつては現代のような交通機関や写真などはなく、だれもが気軽に全国を旅することができなかった時代には、全国の名勝を紹介する技法のひとつとして、盆石が用いられていました。
盆石の歴史は、大地の象徴である石を精神修養として愛観した、千数百年前に始まったといわれています。そして江戸時代には茶室の床飾りとして茶道と合流し、やがて江戸中期から末期には縮景芸術として独立してゆきました。
中でも、武将・茶人として有名な、細川幽斎・山斎父子が始祖といわれる細川流盆石は、盆石が盛んであった江戸時代には四大流派の一つとされており、 現在は「一般財団法人 細川流盆石」 に受け継がれています。
松聲閣では、細川家ゆかりの施設に相応しい新春の展示として、このたび、家元の勝野功子(玄悠)先生をはじめ、3名の先生に、新年のおめでたい景色の作品を制作していただきました。
家元の作品 「旭涛」 は、椿の間に展示させていただきました。
また、波頭は繊細で力強く、羽ばたくような鳥にもイメージできます。
玄関に展示された、 家元嗣(いえもとし)の永島三奈子先生による作品「松聲閣庭園」は、庭園北側の斜面林を山に見立て、現在では珍しくなった伝統的な雪吊りに、職人の技術と同じく伝統を受け継ぐ気持ちに敬意を表し、雪吊りの松が描かれています。
また、お盆の蒔絵も慶事に使われるもので、併せてご鑑賞ください。
2階の「山茶花の間」には、和田聖子先生による「霊峰富士」が展示されています。
マラカイトの石で鮮やかな彩りと、雄大な富士の裾野を表しています。
盆石に描かれた白い砂は、白鳥の羽などをつかって描かれています。
砂の白とお盆の黒とのコントラストで表現される自然は、見る人によって色がつき広がりが生まれ景色が完成されるとのことです。
細川流盆石の作品展示は、1月29日(日)まで開催しています。
日の出と荒波、雄大な富士、そして細川家に守られてきた日本庭園の姿を、どうぞお楽しみください。
それではまた!